トリコリラ円の政策金利と今後の見通しについて
スワップをメインに運用するものとしては政策金利はとても重要な項目です。この記事は政策金利とトルコリラ円の今後の見通しについて解説します。
2018/4/25 政策金利結果出ました⬇︎
市場は不納得?トルコリラ政策金利結果と後期流動性貸出金利とは? - トルコリラとlovelydays
政策金利とは
国の経済の安定化、成長促進する為に行う金融政策の一つで、中央銀行が定める金利のことです。
中央銀行って?
市中銀行を相手に、お金の貸し出しを行う銀行のことです。要は銀行の銀行です。
一般の人が利用する銀行 → 市中銀行
銀行が利用する銀行 → 中央銀行
どういった時に行うの?
過剰なインフレ、デフレが起こった時に行います。
インフレ、デフレとは⁇
例えばある商品に対して、欲しがる人が多い状況の場合、商品の価値が上がり、必然的に値段が上がります。この現象をインフレと言います。
そして物価が急激に高くなりすぎると同じく給料が上がるわけではない為、物が売れなくなります。よって需要よりも供給が上回り今度は物価が下がります。この現象をデフレと言います
行き過ぎたインフレ、デフレは国家を破綻させてしまう恐れがあります。そうならない為にも中央銀行が金利を上げ下げして景気をコントロールしているのです。
ちなみに
対策としてはインフレ時には金利を上げ、デフレ時には金利を下げます。理由は後述いたします。
デフレ ➡︎ 金利下げる
現在のトルコはどういう状態?
トルコは現在インフレ状態です。
直近のトルコのインフレ率は?
インフレの指標とされている直近の2018年03月消費者物価指数は+10.23%。前年同月比なので去年の3月と比べてという事となりますが数値としてはとても高い状態です。
例えば去年250万円だった車を、1年後に買おうとすると275万円になってるということです。
去年250万円 ➡︎ 一年後 ➡︎ 275万円
結果:25万円の値上がり
トルコ中央銀行の目標が5%という事ですのでどれだけ高いかは一目瞭然です。本来であればこういったインフレの抑制の為には政策金利を上げなければいけないのですが、ここでトルコは大きな問題を抱えています。
エルドアン大統領の利下げ圧力
トルコのエルドアン大統領は頑なにトルコ中央銀行に利下げ圧力をかけているのです。
まずは前述しました、なぜインフレ時に金利を上げる必要があるのかを説明します。
なぜインフレ時に金利を上げるの?
通常インフレの際は、市場に出回っているお金の量が多い状態です。つまりお金が流れが良くなり物がよく売れます。その為、経済成長には適度なインフレは必要です。
とはいえ現在のトルコのインフレ率は非常に高く、急激なインフレが進むと物の値段が高くなりすぎて物が売れなくなりますデフレが起こります。
すると今度はどんどん物の値段が下がり、そうなると働く人の収入も減ります。
そしてますます物が売れなくなるというように悪循環に陥り、経済状況はとても危険な状態となります。
(日本のバブル時代の末路をイメージするとわかりやすいですね)
そうならない為に利上げする事でお金の動きを鈍らせ需要を減らします。
端的に言えば、利上げするとお金を借りる時に返済の負担が大きくなる為、投資や買い物をしなくなるのです。そうする事でお金の動きを止め、インフレを抑えるのです。
現状
しかしトルコのエルドアン大統領は独自の見解から利上げ施策を非難してます。また、実際この圧力に屈し、トルコ中央銀行はなかなか利上げできていません。
そしてそんな煮え切らない態度に市場は失望し、トルコリラは何度も下落しています。
なんで利下げ圧力かけるの?
エルドアンが利下げ圧力を行うのは人気取りの為とも言われています。
利上げが行われれば、国外のトルコリラホルダーはとても嬉しい事(スワップポイントも上がるため)です。
しかし加熱した景気を冷ますという事は当然その皺寄せはトルコ国民にきます。
つまり国民にとって利上げは遠慮願いたいものなのです。そう考えるとエルドアンがなぜあれだけ頑なに利上げを批判するのか少しわかる気がしますね。
今後の見通し
今少しずつですがトルコリラの流れが変わり始めています。というのも4月18日にエルドアン大統領より重大な表明がありました。
2019年11月実施予定だった大統領選、国会総選挙(エルドアンの進退を占うビッグイベント)を今年の6月24日に前倒しすると表明しました。
そしてさらに、4月25には政策金利の発表があります。
意外と追い風になる?
頑なに利下げ圧力を行う背景に人気取りという理由があるのなら、今回の前倒しの件はもしかすると追い風になる可能性が出てきました。
選挙のための人気取りの必要はなくなる
↓
利下げ圧力も緩和
↓
トルコ中央銀行も気兼ねなく政策金利を上げれる
↓
インフレ改善、スワップアップ、トルコリラ円上昇etc…
あくまでも希望的観測に過ぎませんし、エルドアン大統領の独裁性が強まる懸念もあります。
ただ、ひとまずは利下げ圧力によるインフレ拡大懸念がなくなるとの期待が高まっているのは事実ですね。
来たる4月25日の政策金利…何かが起こる?
選挙前倒し報道によってトルコリラ円は一時26.7円まで急上昇。そして先日4月13日、
エルテム・トルコ大統領顧問
「数日以内に為替レートに対して必要な措置を取る」
【発言】トルコ大統領顧問「数日以内に為替レートに対して... - 2018年4月13日|速報メールブログ|外為どっとコムのFXのブログ
エルドアン大統領の側近である人物の発言である以上、4月25日を期待せずにはいらいれないですね。
この調子でトルコ中央銀行がしっかりと利上げをしてくれれば大きく流れが変わるような気がしております。
どちらにせよ、4月25日の政策金利は一つのターニングポイントになりそうです。
まとめ
・トルコは今高インフレ状態
・インフレを抑えるには利上げが必要
・しかしエルドアンはあいかわらず利下げの姿勢
方々から批判が上がってるにも関わらずエルドアンは利下げの姿勢を崩しません。ただなんだかんだ言っても結局利上げを決めるのはトルコ中銀です。圧力に屈さず、ドンと利上げしてほしいですね。
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